親と絶縁している場合の相続放棄の進め方
1 「絶縁」は法律用語ではない
親子関係というものは家庭によってまちまちです。
中には、親から絶縁を言い渡された、あるいは自分から親に絶縁を言い渡したという関係に至っているということもあります。
絶縁状態とは親子間の交流を断ち切る、あるいは交流を乏しくするものであり、親子間の喧嘩の中で「絶縁」という言葉が使われることがあります。
ただ、親子関係等を定める法律である民法の中に「親子の絶縁」に関する規定があるわけではありません。
法律に規定がない以上、親子のどちらかが「絶縁」を宣言したところで法的な効果が発生するということは基本的にはありません。
2 絶縁状態でも相続放棄は必要
そもそも、一般の契約関係と違い、親子関係は基本的に血縁関係によるものなので、一方的にあるいは合意によっても親子関係を法的に断ち切ることはできません(特別養子を除く)。
そのため、絶縁状態になっていたとしても、親子関係は法的には維持され続けていますので、親が亡くなれば子は法定相続人の立場に立つことになります。
もし親の財産を相続したくないのであれば、家庭裁判所で相続放棄手続きを行う必要があります。
なお、稀なケースではありますが、相続放棄手続きを行わなくても、子が相続する権利を失うことがあります。
それが、「欠格」と「廃除」です。
「欠格」の代表的な例は遺言書を偽造や隠蔽した場合で、他にも親を殺害しようとした場合も当てはまります。
「欠格」に該当する事情があった場合には強制的に相続する権利を失うことになります。
したがって、子が親の遺言書を偽造したところ、それが発覚して「絶縁だ」と言われた場合ですと、絶縁宣言が理由というわけではありませんが絶縁された親の相続権を失うことになります。
「廃除」は、被相続人が家庭裁判所で手続きをとることによって特定の相続人の相続権を失わせるものです。
「廃除」の代表的な例は継続的で耐え難い暴力行為や勝手に被相続人の財産を処分した場合等です。
「欠格」と違い、家庭裁判所での手続きが必要ということでは親の「相続させたくない」という意思が明確な場合になります。
そのため、世間一般に言う「絶縁宣言」に近いものではありますが、絶縁宣言が直接的な理由で相続権を失うわけではないので注意が必要です。
3 親の財産の詳細を知らなくても相続放棄はできる
親から絶縁されて長期間疎遠になっていますと、親の財産や負債についてほとんど知る機会がなく、親が亡くなった時点でどのような遺産があるのか全く見当がつかないということもあります。
親の遺産について詳細に把握できていないと相続放棄をできないのでは心配される方もいますが、相続放棄手続きで遺産の詳細な把握は特に求められていません。
裁判所の書式には遺産の記載欄はありますが、分かっている範囲での記載でも足りますし、全く不明であればその旨を記載することでも足ります。
また、戸籍関係の書類は、絶縁関係であろうと市役所等で取得できますので、手続きをする上で特段支障はないはずです。



























